誰を仕えるのか

アモス７:10−１７ 北イスラエルの現状とアモスの警告

ヤロブアム2世は北イスラエルを強大な国にした王であり、経済的に大きな繁栄をもたらしました。しかし、その繁栄は少数の富裕層に集中し、貧しい者たちは不正と搾取の中で苦しみ、その苦痛は完全に無視されていました。北イスラエルのベテルは、このような腐敗した体制と抑圧を黙認する宗教的な中心地でした。

アモスはこうした腐敗と不正を告発し、神の裁きを宣言しました。しかし、ベテルの祭司アマツヤはアモスを脅迫し、北イスラエルを去るよう命じました。彼は「パンを食べながらそこで預言せよ」という言葉でアモスを追い出そうとし、もはや北イスラエルの民心を揺るがすアモスを放置できないという態度で脅しました。アマツヤはアモスのメッセージが神の意志であることを無視し、自分の権威と地位を守るためにアモスを排除しようとしました。

アマツヤの誤りと神への背信

アマツヤはベテルを「王の聖所」と呼び、すでに神の意志を失い、人間の権力の中心地に変質したその場所を守ろうとしました。彼は神の名よりもヤロブアム王の権威を優先し、自分が属する体制と権力を維持しようとしました。アマツヤは、自分が神ではなく人間の権力の前にひれ伏していることを自覚していませんでした。

アモスの使命と神への従順

一方、アモスは神に召された預言者として、自分の使命を断固として明らかにしました。彼はこう宣言しました。

「私は預言者の集団に属している者でもなく、預言者の弟子でもありません。また、私は多くの家畜を所有し、広大な農地を営み、不足なく生活しているため、パンを得るためにここで預言をしているわけでもありません！」

アモスはただの農夫であり、自分の質素な日常に満足して生活していました。しかし、神の強い召しは彼の人生を完全に変え、彼は神の命令に従って北イスラエルへ向かいました。

神の心を示すアモスの預言

アモスは単に神のメッセージを伝えるメッセンジャーにとどまりませんでした。彼は神の心を自分の人生で代弁し、神の愛と正義を人々に直接示しました。アモスの預言は単なる裁きの声ではありませんでした。それは、神がイスラエルをどれほど愛しておられるか、彼らの不正と堕落にもかかわらず、依然として彼らが立ち返ることを切望されている神の熱い心を示すものでした。

アモスはこう語ります。

「私は神の声を聞かずにはいられませんでした。神の召しは獅子の咆哮のように私の心を揺るがしました。神が私を動かされ、私がしていたすべてを後にして北イスラエルへ行かせました。北イスラエルがどれほど罪に陥っていても、彼らに対する神の愛は変わらないので、私はこのメッセージを伝えずにはいられませんでした。」

預言者の役割と責任

預言者は単に神のメッセージを伝える役割にとどまりません。彼は神と人々の間で共に泣き、共に苦しみながら神の心を示す者です。神の視点で世界を見、神の心で苦しむ人々を見つめ、その痛みに共感します。預言者とは、自分に関係ない問題にも神の心を抱き、涙を流す者です。

神はそのような者を預言者として召し、彼らの胸に神の心を植え付けられました。

アモスは自分の人生そのものが神のメッセージになることを願いました。彼の一歩一歩が神の愛と正義を表す道具でした。神に召されたアモスは、自分の安全や生計を顧みることはありませんでした。彼の視線はただ神に向けられ、彼の使命は神の心をこの世界に伝えることでした。

アマツヤの結末と警告

アモスを通じて、神はアマツヤと北イスラエルに対する厳しい警告を発せられました。アマツヤは神の言葉を遮ることで民族全体の滅亡を早めました。彼は自分の安全と地位だけを心配し、指導者としての責任を放棄しました。神のメッセージを妨げた結果、彼の家族と民族全体が悲劇的な運命に直面するという宣告が下されました。

私たちはアモスを通して神の心を見ます。神の人は、自分の利益や安全のためではなく、神の心で世界を見つめ、神の愛と正義を代弁して生きる者です。

「主よ、私たちを憐れんでください。この地にあなたの愛と正義を打ち立ててください。」神の心は、この祈りの中で地に表されるでしょう。